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匿名論争に続いて今度は著作権ですか・・・。

またまた木村氏。週刊!木村剛で「月刊!木村剛」が進み始めましたとの記事。

リンク・引用・転載について。これまたみんな好きそうなところを・・・。もちろん、「みんな」というのは、ブログをやってるような人、というかなり限定的な「みんな」ではあるのものの。またトラックバックがいっぱい付きそう。

記事の最初の部分については基本的に納得。そして、結論そのものについては、そういうルールにも合理性は、あるわな、という感想。というのは、ルールがそういうものなのだったら、もうちょっと楽に書けそうだ、とは思うのである。もっとも、それが成り立つとは思えない。

一番おかしいと思うのは、全文引用についての部分。11ある段落のうち、段落7あたりからハナシがおかしくなってきている。

7.ここで悩ましいのは、ネット上における「リンク」と「転載」の違いです。おそらく「リンク」というのは、出版物で言えば、「○○参照のこと」という参照文献の明示ということにあたるのでしょうが、ネットの場合ワンクリックでそこに飛んでいくことができてしまいます。つまり、現実的には「転載」していることと同じ行為(「転載」≒「リンク」)なんです。しかも、無料で誰にでも開放されているのですから、ある意味で「ネット上における無料による無断転載」を認めているということでもあるのです。しかし、ネット上において「リンク」を認めないなどというルールを導入すれば、ネットの魅力は半減してしまうでしょうし、「リンク」を拒むのであれば、「閲覧を限定したクローズドのサイトにすべき」ということにもなるでしょう。

この段落以降との関係で重要になってくるロジックはこの段落で言っている「転載≒リンク」というもの。しかし、それが成り立つとは思えない。木村氏はリンクが現実には「転載」していることと同じ行為であるという根拠について、ネットの場合ワンクリックでそこに飛んでいくことが出来ることをあげている。

しかし、本に脚注がついている場合も、さっと図書館へ行ってくればその本にたどり着くことができる。リンクをクリックしてのひとっ飛びと、図書館へのひとっ走りの差は、量的なものであって、質的なものではないではないだろうか。ひとっ走りの果てにたどり着けるのが別の本であるように、リンクひとっ飛びの果てにたどり着くのは別の著者が別のサーバーで供しているサイトである。

「ある意味で「ネット上における無料による無断転載」を認めている」としている点については、確かにそうであると思う。・・・とはいっても、そのある意味を、「リンク」に限定して考えるなら、である。木村氏のいう「リンクは無断転載のようなものだ」という発想は荒唐無稽なものでは全くないとは思うのだが、そこから何かがいえるとしても、「リンクという方法である意味の無断転載てきる」ということにとどまる。

というわけで、「転載≒リンク」という論理は成り立たず、したがってこれを受けた段落8以下も成り立たないと思う。

ただ、可能性として、ネット上に無料で文章を公開している者の意思として、リンク以外の形でも転載/全文引用してよいとの黙示の意思を認めることができればそれはそれで別の問題だとは思う。しかし、これもそういえるとは思えない。ネット上で無料で文章を公開している者としては、単にそれを呼んでもらいたいというだけではなく、それは自分のサイトに来てほしいと思っていると考えられるからである。

そもそもネット上のリンクの問題が最初にアメリカで訴訟になりだした頃(もう随分前のハナシですが)の事件は、リンク先が広告収入を得ていた、というような事例だったと記憶している。最近でも一般のblogでAmazonアソシエイトなどをやっている例もあるのだし、一般にリンク以外の方法で転載/全文引用してもよいという意思がなりたつとは思えない。

ちなみに、これはどうでもいいのだけれど、「全文引用」は概念矛盾だと思う。日常用語を前提にしても、著作権法32条の引用の概念を前提にしても。


・・・とはいえ。
別に木村氏に必死に反論しているわけでもない。Amazonアソシエイトがなんだとかそういうハナシは出してみたものの、個人的にはそういうハナシではあって欲しくない。このサイトだって私個人としては全文引用されても全然構わないと思う。(こんなへっぽこサイト誰も全文引用したくはないとは思うのだけれど。)他にもそう思っている人は多いはず。ただ、一般的に、今回の木村氏の言うようなことはやはり成り立たないのではないか。

[よだん。]
というわけで、どうしたらいいのでしょうかね。いちいちどっかに著作権法上認められる引用を越えた転載可、とか書いておく?でも見つけにくいから統一バナーでも作って貼っとく?・・・などと考えていたら、はじめてCreative Commonsあたりがやろうしていることが理解できた気が、した。


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ちなみに、引用のハナシとの関連では以前に書いたこの記事もどうぞ。

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2004年05月12日 12:30に投稿されたエントリのページです。

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