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「東京湾景」+

早いものでまたドラマも新クールに入った模様。月9は「東京湾景」(公式サイトはこちら)。主人公は在日韓国人3世。民族意識を重んじる父親の反対で日本人の恋人との関係がうまくいかなくなり、何気なく携帯の出会い系サイトに登録。東京湾の反対側で働く貧乏な青年と出会う。さらに亡き母親が、結婚前に日本人の男性と恋愛していたという過去が分かって・・・というストーリー(らしい)。 世の中の「はやり」というものは全くもって良く分からないけれど、最近はこういうドラマ(あるいはドラマに限らないけれど)がはやり。在日韓国人、あるいは障害者・・・そうした一般的にはマージナルな存在に焦点をあわせる。なんかそれっぽくドラマが仕上がる。ちょっぴり共感できた気になる。ちょっと感動する・・・。
そういえば先クールのTBSのドラマ、「オレンジデイズ」も柴咲コウ演じる聴覚を失った美少女が主人公だった。(ちょっと前になるけれど)常盤貴子が難病で車椅子の主人公を演じていた「ビューティフルライフ」などと違って、障害そのものにスポットライトを当てたストーリーではなかったにしろ、それが大きな要素だったことは間違いない。 その「オレンジデイズ」の中で印象的なエピソードがあった。何話だったかは正確には記憶していないけれど、主人公の沙絵が演奏家としてCDデビューをもちかけられるというエピソード。彼女はこれを拒絶する。「私は自分の不幸を売り物にするつもりはないわ」と。「オレンジデイズ」は最近の中では割といいドラマだと思ったけれど、さすがにあれには引っ掛かるものがあった。 というのも、続々と出てくるこういうドラマは何なんだろうと考えた時、あのエピソードは縮図的なものに思えた。もちろん、あのドラマを見て「手話はかっこいい」などと勘違いして手話ができる若者が増えたら、それはもしかしたらいいことなのかもしれない。でもたぶんそんなことは起きないし、やはり問題はそういう話ではないだろう。 残念ながらマージナルな存在はやはりマージナルなのだ。結局はどこか遠いところでのいい話といった感じの、いわば「おとぎ話風テイスト」として加えられているだけ。「オレンジデイズ」の最後の最後でも今まで言葉を発しなかった主人公が喋る、という感動的な(少なくともそうなるはずの)シーンがあった。感動的なシーン。でも主人公の不器用な発音、という演出になんだか幻滅する。みんなそれっぽいテーマには浸りたいくせに、そういうディテールは、欲しがらない。 ・・・なんだよ、それ。 結局何が言いたいのか。長々と書いていたら自分でも少し分からなくなってきた。自分が感じているのはそういうテーマに接する時の偽善性に対する優等生的な反発かとも思うけれど、きっとそこまで単純な話ではない。「社会派」チックに迫ったドラマを流せとか、そういう話でも勿論、ない。そんなものはきっとつまらないに決まっている。所詮、たかがドラマなんだから。 でも、とても「違和感」がある。もともとヘヴィーなはずのテーマを安易に薄っぺらい「ファッション」として流行させる((流行しているのではなくてさせられているところも大きいと思うからこの言葉を使う))という、最近の妙なトレンドに対する激しい、違和感。 「東京湾景」のようなドラマが登場する、それもよ月9に・・・ということ自体にいろいろと意味はあるかも知れない((もっともそれはそういうものが受け入れられる雰囲気があるという受け取り側の話で、作り側の話としてはさらに別の話があるという予感はする))。しかし流行に適したものとそうではないものがあると思う。 「なんとなくかっこいいから」の対象になってしまってはいけないものも、世の中にはあるという気がする。たとえそれが今までマージナルだったものを広めるという効果を伴うとしても。流行っているうちはまだいいかもしれない。でも流行というものは、いずれ廃れるものなのだから。

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2004年07月07日 02:31に投稿されたエントリのページです。

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